誕生石の由来
宝石には、古代から神秘的な魔よけの力があると信じられています。

そして、それを身につけることによって、悪魔や病気や災難をよけることができ、

幸運にめぐり合えると信じられてきました。


誕生石の風習がはじめて文献にあらわれているのは、西暦1世紀にユダヤの歴史家

フラヴィウス・ジョセフスの書いたもの、並びに西暦5世紀のはじめに聖ジェロームの書いたものが

最初とみられています。これによると、誕生石に選ばれた石は、

旧約聖書の「出エジプト記」(第28章)に出ている祭司の胸当ての12個の飾り石と、

新約聖書の「ヨハネの黙示録」(第21章)に出ている、聖都エルサレムの城壁の土台に飾られた

12種類の宝石がもとになっていました。ところが、誕生石の選び方は、

各民族や国や時代によって、幾通りもの違ったものができましたし、

それらの中には、ダイアモンドと真珠が入っていなかったので、

アメリカでは1912年に宝石小売商組合が、

イギリスでは1937年に貴金属商組合が、

それぞれ新時代にふさわしい(と同時に彼等の商売に都合の良い)誕生石を選びました。

したがって、米英両国で誕生石といえばそれらをさしていますが、

フランスその他では、昔どおりの選び方をしています。

誕生石と石の持つ性質
1月・ザクロ石
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Garnet 「ガーネット」

ザクロの実のような暗赤色の石。

堅実な性質、あるいは、たかい貞操を持たせ、優美、力、

勝利を保証し、友人からは真実の友情を受けさせるといわれています。
2月・紫水晶
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Amethyst 「アメジスト」

古代には、この石を持っていると、酒に酔わないと言われていました。

この石を身につけていると、感情に支配されたり、

心配事に煩わされず、誠実な、平和な心の持ち主になるといわれています。

古い時代には、キリスト教の僧侶達が、高い徳と理想を持つことを願って

この石を指輪につけていたそうです。

3月・血玉髄(けつぎょくずい)
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Bloodstone 「ブラッドストーン」
または、Aquamarine「アクアマリン」

「ブラッドストーン」は、血の石という意味で、古代には血を止める力があると信じられていたので

このような名前がつけられました。碧玉(Jasper ジャスパー)の中に、

点々と赤または赤がかった酸化鉄が入っています。

持ち主に、知性と勇気と堅い信念を与えるといわれています。

「アクアマリン」は、海の水という意味で、藍玉または水緑石と呼ばれています。

鉱物的には、エメラルドと同じで、薄い青色のもをこの名で呼んでいます。

海水色をしているので、持ち主を海上の危険から守り、

その美しい青色がシンボライズしているような、青春と夢を与えるといわれています。

アメリカでは、血玉髄が主で、アクアマリンが代用石だが、

イギリスではその反対になっています。

4月・ダイアモンド
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Diamond

イギリスではその代用石として、水晶Rock crystal)を選んでいる。

ダイアモンドはエピソードの多い宝石で、宝石の中でもっとも硬く、もっともよく光るので、

最高の地位を占めていることはよく知られています。

無色透明で、純粋、清浄、無垢(けがれのないこと、無心であること)を象徴し、

嵐を防ぎ、平和を守るともいわれています。

婚約指輪には、第一にダイアモンドが選ばれるが、これにはこの宝石が、

愛情の火によって輝かしい光を発するようになったという、古い言い伝えがもとになっているという説や、

古い時代には、ダイアモンドには男性の石と女性の石があって、

どちらも空からの露によって小さい子供の石を生むと言い伝えられていたので、

それがもとになっているという説などがあります。

水晶はヨーロッパでは、18世紀以来ダイアモンドの代わりをする石として、高貴な存在になっています。

古代には、氷が石のように固まったものといわれ、この石を漬けたハチミツを飲んだ母親は、

たくさんの母乳がが流れ出るといわれ、眠る時にこの石を身につけていると、

悪夢や呪いや魔法を退けるといわれていました。

5月・エメラルド
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Emerald

イギリスでは、緑玉髄(Chrysoprase クライソプレーズ)を代用石に定めています。

エメラルドは鮮やかなグリーンです。宝石価値は昔、色が中心だったので、

ルビー、エメラルド、ダイアモンド、サファイアの順でしたが、今日では光が主になって、

ダイアモンド、エメラルド、サファイアの順に変わっています。

この石を身につけていると、幸福に暮らすことができるといわれ、

不死のシンボルで裁判に勝つともいわれています。

代用石の緑玉髄は、3月の誕生石であるブラッドストーン、

7月の誕生石ルビーの代用石である紅玉髄等と同じで、

特にこの石だけの言い伝えはないようです。

6月・真珠
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Pearl パール
または、月長石(Moonstone ムーンストーン)

真珠は鉱物ではないので、昔の誕生石には入っていなかったのですが、

一般には、宝石の仲間として古代から貴ばれてきました。

6月は占星学では蟹座で、海に関係があるということで、真珠が選ばれました。

純粋と美と高貴のシンボルで、これを身につけていると、

健康と長寿と富に恵まれるといわれています。

月長石は、白色半透明ですが、磨くと内部で淡青乳状または、真珠状の閃光を放ちます。

古代にはこの閃光が月の満ち欠けにしたがって、大きくなったり小さくなったりするというので、

「ムーンストーン(月の石)」と名づけられましたが、鉱物的には長石の一種なので、

日本では「月長石」と呼んでいます。夫婦の和合を助け、航海者を危険から守り、

人々に高貴な思想をもたらし、神経衰弱を治すなどと言い伝えられています。
7月・ルビー
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Ruby

イギリスでは紅玉髄(Cornelian コーネリアン)と縞メノー(Onyx オニキス)を代用石に定めています。

ルビーは、鉱物的にはサファイアと同じもので、色の赤いのがルビー、青いのがサファイアですが、

サファイアにくらべると、ルビーは産出が少ないので、最高のルビーは、

ダイアモンドと変わらない値段になります。この石の色は、情熱または恋愛をシンボライズし、

生涯の全ての疑惑や心配を追い払い、成功と幸運と愛情と名声をもたらすといわれ、

または持ち主に慈悲心と威厳と神聖な力を与えるというので、

国王たちが王冠にこの宝石をつけました。代用石の紅玉髄は、緑玉髄(5月の代用石)と同じ仲間で、

俗に紅メノーと呼ばれ、夫婦に和合をもたらし、家庭をパラダイスにするといわれています。

縞メノーは、メノーの一種で、メノーは持ち主に力と血色の良い健康と、

生き生きとした顔色を与え、また雄弁と優雅の両方が与えられると言い伝えられています。

8月・カンラン石
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橄欖石
Peridot ペリドット
または、赤縞メノー(Sardonyx

カンラン石は、カンラン(オリーブ)の色をした石という意味ですが、

普通宝石に使われるのは、「オリヴィーン」(
Olivine オリーブ色の石という意)といいます。

透明で光輝のある石で、持ち主に十分の理想と思いやりのある性質を与えるといわれ、

特に、黄金と一緒に装飾品にすると、夜の怖れを近寄せないし、この石の持つ力が

十分に発揮されるといわれています。代用石の赤縞メノーは、夫婦和合の幸福をあらわし、

その持ち主に高潔な気持ちと、愉快な人好きのする性質を与えるといわれています。

この石は、男性の指輪に多く用いられています。
9月・サファイア
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Sapphire

イギリスでは青金石(Lapis lazuli ラピスラズリ)を代用石に定めています。

キリスト教では、聖ポールのシンボルとして僧侶の指輪につけられ、暗い考えを斥け、

高潔な思想を持たせると信じられていました。今日では真実(真理)、誠実、意思の賢固をあらわし、

もっとも幸運なお守りになるといわれています。青金石は、アメリカでは12月の代用石になっていて、

昔はこの石を粉にして、ウルトラマリンの絵の具にしていました。

古い時代には、持ち主に健康を保たせ、裏切り者の武力を失わせ、

危害を加えようとする者を斥け、激しい論争を冷却して、

不和の念を気持ちの良い強調に結びつける等、たくさんの力を持っていると信じられていました。
10月・オパール
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Opal

アメリカでは、(Tourmaline トルマリン 電気石)を代用石に定めています。

オパールはミルク状の石の中に多くの亀裂があって、それが虹色の光彩を放ちます。

幸福、希望、純粋、純真をシンボライズする石になっています。

代用石の電気石は、熱を加えると電気を起こすので、この名があります。

無色、黒、茶、赤、藍、緑など様々な色がありますが、宝石としてもっとも高価なのは、

赤い色のものです。この石がはじめてセイロンからヨーロッパに伝えられたのは、

1703年で、ニューフェースの宝石なので、俗信的な言い伝えはありません。
11月・トパーズ
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Topaz

純粋なものは無色ですが、麦藁色または琥珀色をしたものが多いので、

日本では黄玉と呼ばれています。この石を身につけていると、

真実の友または、真実の愛が一生はなれないと信じられています。

古い時代には、不眠症を治し骨や歯を丈夫にし、髪が抜けるのを防ぐといわれていました。
12月・トルコ石
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Turquoise

アメリカでは、青金石が代用石になっています。

トルコ石はトルコ玉とも呼ばれ、主産地のペルシャからトルコを経てヨーロッパに入ったので、

このような名前になりました。ガラスまたは、ロウのような光沢をもった不透明な石で、

色は青と緑、並びにその中間の色合いが主で、西洋では濃い空の青が高く評価され、

東洋では、緑色のものが好まれています。恋愛の心配や、疑惑にとらわれることなく、

恋する心や、疑いに落ち込んだ心に安らぎを与え、持ち主を成功させるといわれています。
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